チェーン・スモーキング(著者:沢木 耕太郎)

チェーン・スモーキング
沢木 耕太郎
新潮社 (1996/03)
売り上げランキング: 52286

古書店で手にした一冊の本に書き込まれていた言葉。公衆電話で演じられた人生の一場。深夜にタクシー・ドライバーと交わした奇妙な会話。…エピソードの断片はさらなるエピソードを呼び寄せ、あたかもチェーン・スモークのように連鎖しながらひとつの世界を形づくる―。同時代人への濃やかな共感とともに都会の息遣いを伝え、極上の短篇小説を思わせる味わいのエッセイ15篇。

 例えば話題や人々の思考が移り行くのと同じく、このエッセイで紹介されるエピソードもどんどんと巡りゆく。その姿はチェーン・スモークに似ており、タイトルは言い得て妙だ。

 現実に基づくエピソードはまるで短編小説のような読み応えがあり、独特のタッチとテンポで描写された著者の世界は、都会的であり、どことなくクールで、それでいて人間味がある魅惑的な世界。情景や心の有様がパッと思い浮かべられるような文脈に、なんだか酔いしれてしまった。