レビュー:三国志14

私、「信長の野望 大志」のクソゲーっぷりに呆れながらも、新作が販売されれば手を出してしまうくらいにコーエー信者ではあるわけで。今回、いったん群雄割拠シナリオの孫策で、消化試合的にクリアしたのでレビューなど書いてみる。

いきなり総括

まず今作は信長の野望大志のようにクソゲーでもスマホユーザー向けポチポチゲーでもなく、かつての光栄作品を彷彿とさせるような、なかなかの良作に仕上がっていた。シミュレーションゲームとしてのバランスがよく取れており、またそもそも今回は信長の野望大志のようにスマホゲーとしての展開を前提としていないため、ゲームシステムも簡易なものではなく、しっかりしたものだった。

良作、といってもシミュレーションゲームとしての物足りなさは多分にあるのだが、別に本作はシミュレーションゲームマニアに向けてリリースされた作品でもないわけで、コンシューマゲーム機への展開や、PKによる今後の拡張性を鑑みれば、このくらいのゲームシステム、ゲームバランスが現時点ではベストなんだと思う。

以下、歴史シミュレーションゲームに求められる各領域に関する所感を記載する。なお、昨今のコーエーゲーは以前に増してリリース後の機能修正が多く行われる傾向にあるため、お読みいただいた時点ではゲームの機能面での実装が異なる可能性もある。あくまでこのエントリーを書いた2020年2月9日時点での感想となることをご留意願いたい。

内政

内政は担当制。農業、商業、兵士の三点のいずれかを行わせる武将をアサインする。担当をつけておけば勝手に内政が進む。都市の単位ではなく地域と呼ばれる拠点単位での内政であるが、箱庭内政ではないため、どこに何を作るかといったクリエイティビティは内政では求められない。

内政には武将の頭数が必要となるので、能力面はもとより、頭数を揃えないと話にならない。というのも地域には治安が数値として設定して設定されているのだが、内政をしないでおくとこの治安が下がり反乱が起こったり他国の計略により寝返られたりするのだ。

内政面で評価したいのは、今回、金と兵糧の保有を君主単位ではなく都市の単位にした点である。これによって物量で押し寄せる第二次大戦時のUSAみたいなプレイが多少はしにくくなり、国の規模の大小だけでは戦の結果が簡単には決まらなくなった。といっても物量で押し寄せるプレイが完全にできないわけではなく、原則として物資の移動には専用ユニットによる輸送が必須となったのだ。また、この輸送隊を襲って、物資を奪うこともできる。まあ無能な相手AIは殆ど奪ってこないのだけれども。

内政における改善点を挙げるとするならば、金と米の収支が少し分かりにくい点である。これはUIの問題なので改善したらいいのにと思う。都市全体として、いつどのくらい収入と支出があるのかがすぐにわかるUIだったら良かったのだが。

外交

外交はシンプルなもので、親善して友好度を高めつつ同盟し、後顧の憂いを断つ、というのが基本になる。

爵位が一定以上であれば、同盟国には他国への出兵を促すことができるが、私は使ったことがない。

降伏勧告も行えるが、親善によって友好度が高い相手国に対して降伏勧告を行うスタイルで、これは信長シリーズや旧作と同じ。

連合は大国への対抗イベントでして自動発生する模様であり、外交コマンドの中に連合結成があふわけではない。

その他、捕虜返還コマンドがあるが、なんだかあまり返してもらえたことがないのが微妙。

戦争

これは本作の目玉部分だと思う。櫓や土塁、石壁、罠の活用によって、防御側が有利になるような都市設計が味わえてかなり面白い。

また、起伏に富んだ地形が攻撃する側の機動と士気を下げるなどの影響があり、守備側としては地形を活かした防衛策を講じることができるし、兵站を切ることで攻め手を混乱に陥れる策も行える。兵站重要。攻め手としては、山岳部を越え、あらぬ方向から攻撃を仕掛けるといった奇襲策も採れる。地の利を活かせることで、蜀プレイが面白くなったのではなかろうか。

微妙だった点は戦争中の戦法発動と水軍。戦法は自動で発動される。なんだかタイミングがよくわからん。あと水軍。これは使い道がない。何故ならば海戦と言うか川での戦いになることが殆どないから。残念。

野戦の延長線にある都市攻略。これは兵を減らすか耐久度を減らすかのどちらか。複数部隊とやや多めな兵力があれば、攻略できない都市はないので難易度が低い。曲輪のない三国時代の城攻めなんてこんなもんだよね。

三国志シリーズではお馴染みだが、陣形と兵器を採用し、野戦に強い陣形、攻城に強い陣形など、陣形効果によって兵の強さに影響を与えたのは、取れるプレイに幅を与える仕掛けであり、とても良かった。前述の通り水軍を使う機会は無いんだけども。

計略

戦時以外の計略面。三国志ファンにはお馴染みの埋伏の毒や駆虎呑狼、二虎競食。その他、離間と地域懐柔。名前の通り。

埋伏の毒は武将を派遣して潜伏させるシステムではなくなり、単に治安を下げるだけの計略になってしまった。本作には内応とかないから仕方ない。埋伏の毒で潜伏させて忠誠度下げつつ、内応させるっていう仕組みが面白いのにね。

駆虎呑狼が効きやすいので、大国の内側で独立させて楽しいことにはなる。が、忠誠心の影響により、駆虎呑狼によって独立した太守についていく武将は少ないため、他国に楔を打つ、と言うほどのことにはならない。なお今回、こちらが統一フェーズに入ってきた時に配下の司馬懿やら曹操やらが駆虎呑狼されて独立したので処断したのが嫌な思い出。

その他

  • 漢王朝は傀儡政権なのでなんの役にも立ってないが、プレイヤーがなにか彼らをコントロールすることもできない。官職は持てる兵数に影響を与えるので重要なのにね。結局、皇帝は禅譲させて国を起こすくらいしか。
  • イベント発生を選択制にしたのはとても良かった
  • 放浪なくね?放浪あってこその三国志なのに

勝手に改善要望まとめ

  • 水軍の活用機会がもっと欲しい
  • 埋伏の毒は武将派遣にしよう
  • 敵中作敵の復活、内応させたい
  • 漢王朝ってもっと活用できない?
  • 都市攻めが簡単すぎるので何か工夫欲しい
  • 兵器開発とかの技術要素あっても良いのでは
  • 都市の人口が一律過ぎる、もっと強弱つけて
  • 異民族に活躍の場を
  • 放浪したい、旗揚げしたい

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