レビュー:天と地と

映画「天と地と」といえば、バブル期に50億をかけて制作された駄作としてその筋では有名だと思われる映画だ。わたしの記憶の中では「小室哲哉の作ったテーマ曲が良い」という印象しかなったので、改めて観ることにした。

観ることにはしたが、駄作らしくよくわからない神楽と笛ピーヒャラ女子の描写を挟んでくるため、眠くなることこの上ない。

よって、どんどん早送りすることにして(当然こんな映画の鑑賞方法はオススメできない)、この映画の突っ込み所見所まで進める。

映画の冒頭でも気になっていたが、この立派な石垣山は、竹田城なのだ。なんとこの映画では、かの竹田城址に春日山城を築城している。何を言っているか分からないかも知れないが、映画撮影のために竹田城に春日山城を築城したのだ。どうせなら本物の春日山に春日山城を築いてもらいたかったが、春日山城には石垣がなかったわけだし、なんか戦国の城っていうインパクトには春日山城じゃあかけるよね、って話なのかも知れないね、知らんけど。この撮影の影響で崩れた遺構とかありそうだよね、とか、今や天空の城ブームの竹田城でもあり、遺構の保存の観点からも、今なら逆に無理な撮影だったんだろうなあ、と勝手に解釈した。

もう一つのツッコミ…見所は「車懸かりの陣」を実演しちゃう風なところだ。車懸かりの陣とは、総大将を中心に複数の陣が時計回りに廻る陣で、陣が入れ替わり立ち替わりすることによって、敵は常に新手と戦うことになるというトンデモ殺法である。もちろん史実においてそんな陣は無く、後世による創作と言われている。それを映画の中で再現するのは私としては面白い取り組みだと思ったが、全く実演しきれていないんだな、これが。単に車懸かりの陣であることを名乗っているだけだったのだ。

この映画を始め、歴史映画に言えることは、結局どれもフィクションにならざるを得ないだろう、ということだ。観測されている様々な文献等を通じて、往時に想いを馳せることは、フィクションでしかないのだ。

であれば中途半端なことはせずに、フィクションであることを追求してほしかったなと勝手に思っている。車懸かりも、もっと車懸かりしてほしかったし、軍神とまで呼ばれる謙信には、神がかりな雰囲気を出して欲しかった。

あとこの映画には賞賛すべき点が一つある。武田信玄役に津川雅彦を起用したことだ。実に名優である。どーしても家康っぽく見えてしまうけどね。謙信役は当初は渡辺謙の予定だったらしいので、その組み合わせだとまた違った楽しみ方ができたんだろう。

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