シェイクスピアの『リア王』を毛利3兄弟の物語に大胆に翻案して描いた絢爛豪華な戦国絵巻。過酷な戦国時代を生き抜いてきた猛将、一文字秀虎。70歳を迎え、家督を3人の息子に譲る決心をする。長男太郎は家督と一の城を、次郎は二の城を、三郎は三の城をそれぞれ守り協力し合うように命じ、自分は三つの城の客人となって余生を過ごしたいと告げた。しかし、秀虎を待っていたのは息子たちの反逆と骨肉の争いだった。やがて、秀虎はショックのあまり発狂してしまう。
映像作品としては素晴らしい。個々の衣装の色鮮やかさにも目を奪われるし、空の色はまるで主人公たちの心理を描写しているかのように様々に変化してゆき、独特の空気を作り上げてゆく。また合戦シーンにおいては陣形の変移や騎馬隊を中心とした突撃や城の炎上シーンなど、まさに本物の合戦を見ているかのようなリアリティがあった。
一方、ストーリーに関していえば、なにか不自然さ、違和感といったものを感じずには最後まで観ていられなかった。目も当てられないような悲惨な展開が、私としてはあまりにも非現実的過ぎて受け入れられなかったというのが大きな理由だが、結局は最後のほうは口が開いたまま塞がらなかったのは事実だ。
きっと名作の部類に入る作品なのだろうが、個人的にはしっくりこないものがあった。