スターリングラード(監督:ジャン=ジャック・アノー)

1942年9月。ナチス・ドイツの猛攻にさらされ陥落寸前のスターリングラード。そこへ送り込まれた新兵ヴァシリ。敵の銃弾が降り注ぐ中、死体に紛れて反撃の機をうかがっている時、同じように身を潜めていた青年政治将校ダニロフと出会う。ダニロフのライフルを借りたヴァシリは驚くべき正確さで敵兵を次々と仕留めていった……。

 ロシア(旧ソ連)に実在した伝説のスナイパー”ヴァシリ・ザイツェフ”と、彼が活躍した”スターリングラード攻防戦”を中心に描いた戦争映画。主演はジュード・ロウ、ヒロインはレイチェル・ワイズ。

 スターリングラード攻防戦は過酷な消耗戦でその疲れきった具合が戦争描写として巧く表現されている。一方、主人公を中心とした人間模様、恋愛模様は歴史的事実を題材としたこの映画を「戦争”娯楽”映画」にしてしまったように思う。ジュード・ロウとレイチェル・ワイズの恋愛模様のなんと胡散臭いこと。主人公のキャラを引き立てるべく、無理やり足したんじゃないだろうかとさえ思えてしまう。

 単にドンパチ物として観るならば、なかなか面白い。張り詰めた空気、息を飲む狙撃手。そんな雰囲気作りは巧い。でも、戦争映画を観て「面白い」なんて感じたくもないので、私は個人的には受け入れられなかった。戦争を美化して欲しくはない。

 なお、市街戦の雰囲気はなかなかのものだが、キューブリックのフルメタル・ジャケットが伝える恐怖やおぞましさを超えるには程遠いデキだ。