レビュー:秒速5センチメートル(監督:新海誠)


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誰かに恋をしたことがある人ならば、少しはこの作品に共感できる部分というものがあるんじゃないだろうか。とかく”過去に生きている”などと揶揄されてしまう男性ならば、「秒速5センチメートル」を観終えた後には、なんとも言えない孤独な気分になるはずだよ。ピントのあった、そして背景のぼやけた景色はどこか懐かしく、それでいて悲しい。夏の想い出がまわる、ふいに消えた鼓動。よく目にする都会のビルって、こんなに綺麗なものだったかなとも思う。そして桜の舞い落ちる秒速5センチメートルのスピードは、美しくも儚い。

だから鬱エンディングだなんて呼ばれている。そう呼ばれる所以は挿入歌がネタバレしているんだけれど、恐らく主人公の彼が最後まで自分の想いを伝えられていないからなんじゃないだろうか。でも主人公の彼は最後は微笑んでいるんだよね。それはあるがままの自分を受け入れられたからなのか、それともこれからも過去を背負い続ける自分への嘲笑なのか。どちらなのかは観る側に委ねられているのかもしれない。

こんなところにいるはずもないのに、ね。

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