城ッ!攻めずにはいられないッ!!
いや、なぜって、そんなに深い理由などない。ただロマンなんだ男の。かつて某有名登山家に登山する理由を聞いたら「そこに山があるからさ」って言ったとか言わなかったとか、そんな逸話を聞いたことがあるけれど、まあ同じ感じだよ。
そこに城があるならば、男として攻めずにはいられない。
ということで先日八王子城に行ってきた。場所は高尾駅からバスで10分、そこから徒歩15分くらい。山頂までは40分。
八王子城といえば小田原城の支城にあたる軍事的重要拠点で、豊臣秀吉による小田原征伐の際に落城した城である。上杉景勝・前田利家・真田昌幸らの部隊1万5千人に攻められた八王子城はわずか1日で落城したらしいんだけど、豊臣方からしたらこの戦は小田原攻めの見せしめともされる戦で、合戦で命を落とした人の数は約千人ともいわれるとか。とにかく北条方には多数の戦死者が出た模様で、その中には女・子供も含まれていたらしく、落城後に見せしめになるくらいならと自ら命を絶った者も多数いたらしい。そんな経緯からか、なぜか東京都でも有数の心霊スポットなんだとか。そんなの行く途中で知ったんだけど。
この城、行ってみると分かるのだけれど、戦国時代の山城のおもかげそのままを残しているといっても過言じゃない。というか山で、夏場に登るのには非常に向いていないんだ。観光気分で軽装で行ってみて、登山装備で来ればよかったと思ったくらい。要害部分の遺構は草木に埋もれてしまってあまり多くを確認することはできないし、整備されているのは若干の山道と一部の曲輪だけで、基本的には放置されている。そして山頂付近には「八王子神社」があるのだけれど、これがまあ見事に朽ち果てていて薄気味悪さはMAXね。あげく夏場だったからか、人っ子一人いないっていうね。その割にはどこかから声は聞こえてくるし。どこかにいたのかな。
朽ち果てた八王子神社の裏側に、本丸跡に登る細い山道(獣道風)があって、そこを抜けると山頂に出る。そこが本丸があったところで、いまは小さな社と、本丸跡を示す石碑が立っているだけ。10m四方程度のこの開けたスペースは、山頂だからか四方八方から風が吹き上げてきて、そこそこ風通しがよくて涼しかった。
総括で、攻めやすいかというと、そんなことは全然ない。当時からそこそこに険しい山だったろう。ただし山城って天然の要害とするメリットがありながらも曲輪のスペースは大きくはとれないし、物資の輸送も楽じゃないし、そんなに人数籠れなかっただろうから、しっかり整備しない限りは籠城どころじゃないんだろうな、と。事実この城は山全体を要害としていたような城で、広範囲にわたっていたこともあって、完成まで相当な時間を費やす必要があったとおもうんだけど、完成以前に攻められてしまったんだろうね。
歴史的にも重要な舞台だし、なにより当時の面影を残しているであろう鬱蒼とした雰囲気が素晴らしいので、城好きなみなさん、是非どうぞ。でも夏場は低山登山になるのでおススメできない、かな。