カーゴ即ち貨物船を舞台にしたSF映画。スイス映画にして言語はドイツ語、そしてやや勘違いされている感がある日本語やハングル文字、中国語が点在する、我々日本人から観れば変なところが気になって仕方のない映画。だがストーリーはそこそこしっかりしていて駄作というわけではない。
地球環境が人間には適さなくなってしまった近未来。主人公は楽園と呼ばれる惑星への移住資金を得るために、女医として貨物船のクルーの任務につく。貨物は新たな基地を建設するための建築資材といわれていたが、ある日起こった出来事から、運搬しているものが単なる建築資材ではないことに気がつき…
この映画の特筆すべき点は、孤独な宇宙、仮想空間が作り上げる理想郷を描きつつも、そこに絶対悪を出現させていないことにある。主人公はごく普通の人物であり、ハリウッド映画にありがちなヒーローはそこには存在しない。正しい選択は何なのか、見る人によってはこの展開はあり得ないと思うだろうし、これが正しい選択であり、正しい結末であると感じる人もいるかもしれない。つまり結末を見る側に委ねている。これがセオリー通りとも言えるし、その点が秀逸とも言えるんじゃないだろうか。
以下、余談。日本語の響きがかっこよくて使いたかったのかは分からないが、映画冒頭の宇宙船内のシリアスなシーンで「歩行者信号が赤になります、横断はやめてください」っていうシーンと合致しないアナウンスが流れる点以外はまあまあ合格点だと思う…