骨密度を測る新型医療機器のセールスマンとして生計を立てるクリス(ウィル・スミス)は、大儲けを見込んで買い取った機器を思うように売ることができず、家賃や税金を払えない状態に陥ってしまう。妻のリンダ(タンディ・ニュートン)にも去られた彼は、証券会社の正社員を目指して養成コースを受講しようとするが……。(シネマトゥデイ)
この作品はいくつかの見方があり、一面だけで判断してはならない映画だ。
まず、単にサクセスストーリーとしてみるのならば、どうも物足りなく感じてしまった。終わり方がぶつ切りで、苦境から成功へと、本当の意味でのサクセスを描ききれていない。また、似たような話や、もっと酷い苦境に立たされ、もっと大きな成功をおさめた人は沢山いるため、魅力が薄い。だから、この映画は単にサクセスストーリーであるとはどうも言い切りたくないし、勝手なことをいえばアメリカンドリームはこんなものじゃないだろう。
次に、ヒューマンドラマかというと、そうでもない。父と子の関係に焦点を当てたとしても、強引に自らの信念に突き進む父と、それに半ば振り回される家族(子)という関係であるため、当初から「父親の自分勝手さ」ばかりが目に付いてしまい、父がどんなに子に対して愛情を表現したとしても、「お前が勝手にやってるから子供は・・・」といった具合に思えてしまうし、なんだか胡散臭く見えてしまう。また、その二人の関係において「幸せのちから」は描かれていない。
じゃあ一体なんなんだ?というと、この映画は「ウィル・スミス(父子)の好演」が全てだ。脚本はどうも薄っぺらく感じてしまったし、演出面でも心にぐっとくるものはなかったが、成功を掴み取った瞬間のウィル・スミスの表情は、まさしくハリウッドスターのそれであり、若くありながら「燻し銀」のような魅力すら感じさせられた。これならば、アカデミー賞にノミネートされたのもなんだか納得できてしまう。
ウィル・スミスとその実子(ジェイデン・クリストファー・サイア・スミス)には今後も期待できそうだ。
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◆幸せのちから – オフィシャルサイト
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